先日、近所の公園でのベンチで、静かに読書しながら日光浴をしていたら、匍匐前進しながら、地面を張っているような人がいたので、なるべく目が合わないように視線をそらしていたのですが、どうしても気になってしまい、こちらから声を掛けてしまいました。

とてもおだやかな学生さんで、自身の研究課題の為に、都会に生息している冬虫夏草の研究をしているとの事でした。

私自身も、幼少期にみた植物図鑑の冬虫夏草に、魅了されてしまった1人ですので、彼が、研究の一環として、冬虫夏草の生態の調査にのめり込んでいる姿は、ある意味、羨ましくて仕方がありませんでした。

冬虫夏草と言っても、知らない人々がほとんどなのかもしれませんが、漢方や、薬膳、サプリメントなどでも使用されている、万能薬と呼ばれる「きのこ」なのです。

名前の由来は、冬の間は、虫の姿として、森の中を彷徨い、夏になると、草として大地から芽吹いてくるといったようなネーミィングであるようなのですが、実際は、冬虫夏草と呼ばれる「きのこ」の「菌」が、虫に取りつき、昆虫らの養分を吸収しながら、「きのこ」として成長する課程で、虫の本体を乗っ取ってしまうという、怖い「きのこ」なのです。

ネーミィングといい、その不思議なフォルムに魅了されてしまった私も、かつては、学校の裏庭などを、徘徊しながら、冬虫夏草を探したものでしたが、その姿をみつける事はできませんでした。

目の前の学生さんは、地面と顔を突き付けるように、幻のきのこを探しています。あのように、地面に這いつくばるように捜索しなくてみつからないものなのだという事を初めて知りました。

幼き学生時代の自分に、この真実を伝える事ができれば、私も、もしかしたら、冬虫夏草の研究に明け暮れるような人生の道を歩んでいたかもしれないと、一瞬ふと考えてしまいました。